建設業許可について

建設業許可について

建設業許可について

建設業を営むためには知事又は大臣の許可が必要

 

ただし、次のような軽微な工事については許可なしでも構いません。

 

建築一式工事については工事1件の請負額が 1,500 万円未満の工事、又は延べ 面積が 150 平方メートル未満の木造住宅工事
【木造】 建築基準法第 2 条第 5 号に定める主要構造 物が木造であるもの
【住宅】 住宅、共同住宅及び店舗等の併用住宅で、延べ面積が2 分の1以上を居住の用に供するもの。
建築一式工事以外の工事の場合 工事1件の請負額が500万円未満の工事のみを行う場合、許可は不要です。(消費税込み金額)

 

それ以外の工事を無許可で行うと、建設業法第47条により3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられ、以後5年間は許可を申請することができません。
建設業といっても29業種あります。よく建築工事と建設工事が勘違いされますが、建築は建設29業種の内の1業種です。

 

建設業の業種一覧

 

●どうしても許可がいる場合

いくら軽微な工事であっても、許可が必要な場合があります。
官公庁などの公共工事に入札しようとする場合は、必ず許可が必要です。
発注者や元請けが、許可が無いと仕事をさせないという場合もあるようです。それで許可申請の依頼があったことがあります。請負金額は状況により変動します。発注者(元請)も金額によって責任を負うことになります。
営業的に、許可が無いと不利だということもあるようです。軽微な工事しかないと決めつけて無許可状態にあると、ある日急遽500万円以上の工事の要請があっても、チャンスを逃します。そして対外的にも信用を失います。

 

以上のことから、許可を取っておくに越したことはないと思われます。

 

●許可の要件・注意点

許可取得には様々な要件があり、確認できないと許可されません。細かい点で各府県によって若干の相違があります。以下、大阪府を念頭に記します。

 

1.資格者が在籍していること(経営業務の管理責任者及び専任技術者)

経営業務の管理責任者(経管)とは、建設業の経営に5年以上携わった人で、この人が取締役又は個人事業主でなければなりません。番頭格なら6年以上、他業種での経験の加味、経管の補佐人制度等特例があります。(個人事業でも事業主以外の人を支配人登記すると経管になれる)

 

専任技術者(専技)とは、許可を取る業種に応じて技術的指導を行える人で、取締役でなくても構いません。経管と兼ねても構いません。国家資格か実務経験証明で可能となります。

 

*注意1:電気工事と消防設備工事に限り実務経験による資格取得は不可能。電気工事士なりの国家資格が無いとそもそも実務ができないため。
*注意2:これら資格者は絶対に申請事業所に所属していなければならず、法人なら社会保険、個人事業なら国民健康保険に加入することにより証明される。他の事業所と掛け持ちすることはできない。
*注意3:大阪府では月間給与が10万円を切ると常勤性が疑われる。法人なら社会保険の「標準報酬額決定通知書」がいずれにしても必須なのでそこで月間給与が明らかになる。
*注意4:特定建設業許可の人的要件は厳しくなる。

 

2.財産的要件

①一般建設業なら自己資本500万円以上のこと。
自己資本とは法人の資本金額ではありません。一般の企業なら資本金と繰越利益剰余金の合計です。一般的には純資産でよいでしょう。したがって赤字続きで繰越損失が積み重なると自己資本が500万円を下回ることになります。設立後1年未満でまだ決算をしていない場合、資本金が自己資本になります。個人事業でも貸借対照表の純資産が目安になります。
特定建設業については割愛します。下請に出せる額が高額になる分、要件も厳しくなります。

 

②上記①以外の方法として、金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書でも構いません
*注意1:新規許可から最低5年以上経過または更新の時には、財産的要件は問われない。
*注意2:特定建設業においては、更新の都度要件がチェックされる。基準に満たないと却下され、一般建設業で新規許可申請扱いになる。

 

3.営業所の実体があること。

独立した出入口を伴う事務室であること。最低限の備品として、パソコン、固定電話、机椅子が必要で、コピー機も必要。入り口には郵便受け、標識か看板が必要です。新規申請時には写真撮影します。

 

4.その他要件(社会保険加入等)

法人なら必ず健康保険・厚生年金の社会保険に加入していること。従業員が在籍の場合、雇用保険に加入していなければなりません。個人事業なら事業主が国民健康保険に加入していること。家族以外の従業員がいる場合雇用保険も必要です。(個人事業でも従業員が5名以上いる場合、社会保険の加入が必要です。

●絶対に許可が取れない場合(欠格要件)

前項に記載した要件がすべてクリアできたとしても、法人の役員、支店長等の使用人、一定の株主等で一人でも次のことに該当する場合許可されません。個人事業主はもちろんです。申請時には該当か否か不明でも審査途中で該当が判明すると許可されず、申請料も返金されません。役所では申請受理後、許可証が届くまで少し時間かかりますが、警察との間で「犯罪履歴調査」を行うためと思われます。

 

*平成27年4月より新規申請はもちろん、既存の許可業者も随時調査することになり、該当した場合許可取り消しになります。(大阪府)
*行政書士が関与して申請していて、こうした理由で不許可となっても、賠償の責任は負えません。申請者自身が前もって表明して頂かねばなりません。

 

<欠格要件(概略)>
① 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者。社長以外の取締役の1人でもこれに該当すると不可となる。そもそも取締役になれない。
*このことは申請前にわかる。必要書類として「身分証明書」「登記されていない証明書」を本籍地役所や法務局で取得する。取得できないということは該当者になる。

 

② 暴力団員

 

③ 一定の法律に違反して禁固以上の刑、罰金刑を受けて5年を経過していない者。
建設業法、暴力団関係法、刑法の傷害罪・現場助勢罪・暴行罪・凶器準備集合罪・脅迫罪・背任罪、建築基準法、宅地造成法、都市計画法,景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法
*スピード違反など道路交通法違反で罰金を受けても欠格に該当しません。でも示談と称して脅迫を行うと刑法にかかるのかもしれません。その他パワハラもでしょうか。

 

●許可後の義務

許可が下りれば堂々と仕事ができるわけですが、あくまで許可された業種だけですのでご注意ください。例えば建築一式工事の許可が取れても、電気工事だけの単独工事は、電気工事の許可が無いとできません。「業種追加」と言って、要件が揃えば別の業種の許可も取得できます。

 

① 建設業決算変更届:決算終了後4カ月以内に届出なければなりません。違反すると100万円以下の罰金または1年以下の懲役となっています。大阪府では執行された事例は聞いていませんが、取り扱いは厳しくなっています。例えば一度複数年分の届けをすると注意を受けますが、同じことを繰り返すと具体的な処分を受けることになるようです。

 

② 住所や会社役員の変更届:発生後30日以内

 

③ 経営管理責任者や専任技術者の変更(重要):発生後2週間以内
こうした資格者の変更は十分注意しなければなりません。後任者との空白期間が1日でもあれば建設業法違反となります。また、後任者が資格要件を供えていなければなりません。変更届は審査されます。前任者が退職するときは事前に後任者を決めておく必要があります。

 

④ 許可更新
許可された日から5年ごとに有効期間が切れるため、その都度更新の申請をします。

 

建設業の許可取得は、結構複雑です。専門家に依頼する方が得策かもしれません。自分では許可は無理だと思っていても可能な方策があるかもしれません。

 

●その他:登録制度(電気工事業、解体業)

電気工事と解体工事に限り、税込み500万円未満の工事のみをする場合でも、知事等に登録をしなければなりません。建設業許可制度に比べて簡単ですがそれなりに書類の提出が必要です。
登録をしないで工事をすると違反になります。もちろん500万円以上の工事はできません。

建設工事の種類と業種

建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と27の専門工事に分類され、それぞれに応じて29の業種が法律に定められています。

 

建設工事の種類 業種 建設工事の種類 業種
土木一式工事 土木工事業 ガラス工事 ガラス工事業
建築一式工事 建築工事業 塗装工事 塗装工事業
大工工事 大工工事業 防水工事 防水工事業
左官工事 左官工事業 内装仕上工事 内装仕上工事業
とび・土工・コンクリ ート工事 とび・土工工事業 機械器具設置工事 機械器具設置工事業
石工事 石工事業 熱絶縁工事 熱絶縁工事業
屋根工事 屋根工事業 電気通信工事 電気通信工事業
電気工事 電気工事業 造園工事 造園工事業
管工事 管工事業 さく井工事 さく井工事業
タイル・れんが・ブロ ック工事 タイル・れんが・ブロッ ク工事業 建具工事 建具工事業
鋼構造物工事 鋼構造物工事業 水道施設工事 水道施設工事業
鉄筋工事 鉄筋工事業 消防施設工事 消防施設工事業
舗装工事 舗装工事業 清掃施設工事 清掃施設工事業
しゅんせつ工事 しゅんせつ工事業 解体工事 解体工事業
板金工事 板金工事業